アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎の原因は、花粉、ダニ、ハウスダストが多いです。
ここでは花粉症を除く、通年性アレルギー性鼻炎についてお話します。
「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」が3大症状です。
アレルギー性鼻炎では鼻の粘膜が青白くなります。鼻水の中の細胞を見たり、血液検査でアレルギーを確認します。
基本の治療は、点鼻薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン拮抗薬で、薬によって効く症状が異なります。
通年性アレルギー性鼻炎の症状
アレルギー性鼻炎は、「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」
その他に、「のどのかゆみ」「皮膚のかゆみ」「せき」などの症状が現れることがあります。
アレルギー性鼻炎の鼻水は、水っぽい(水様性)ことが多いです。黄色い色がついているときは風邪や副鼻腔炎の事が多いです。鼻の前にたれてくることもありますが、喉の方にたれてくる後鼻漏(こうびろう)の症状がでることもあります。
鼻づまりは、①鼻水によるものと、②鼻の粘膜が腫れることが原因です。
鼻水による鼻つまりであれば、鼻をかむことで解消できます。しかし、鼻の粘膜が腫れてしまうことで鼻がつまっている場合には、薬などで粘膜の腫れを引かせる必要があります。
通年性アレルギー性鼻炎の特徴
①季節ではなく、年中存在するものによるアレルギー性鼻炎です。
②原因の多くはダニ・ハウスダストが多く、その他にカビ、昆虫、ペットの毛などが原因になります。
③通年性アレルギー性鼻炎は年々増えてきており、4人に1人と言われています。
①アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜のⅠ型アレルギーの病気です。通年性のものと、季節性のものに別れます。
通年性アレルギー性鼻炎は、花粉症と異なり、1年中鼻炎の症状が起こることが特徴です。1年中存在する物質である、ダニ・ハウスダスト・ペットの毛(イヌ・ネコなど)・カビ・昆虫などが原因になります。
②通年性のなかでも多いのがダニによるアレルギーです。ダニは布団や枕、カーペット・絨毯、クローゼットや物置などに発生します。ダニは温度が高く、湿気の多いところを好みます。近年住宅の気密性(きみつせい)が高くなり、保温・保湿性能が上がったことにより、ダニが繁殖しやすい環境になってきたと言われています。
③徐々に通年性の割合は増えてきており、4人に1人が通年性のアレルギーと言われています。住環境の問題に加えて、温暖化がすすんでおり、徐々にダニが増えやすい環境となっていることが原因です。
通年性アレルギー性鼻炎の検査
①鼻の中を見る検査(鼻鏡・内視鏡)
②鼻水の中の細胞を診る検査
③血液でのアレルギー検査
①鼻の中を見る検査(鼻鏡・内視鏡)
鼻の中を鼻鏡という鼻を広げる器具を使ってのぞきます。奥まで見たいときは内視鏡を使って確認します。
アレルギー性鼻炎では粘膜が青白く見え、また透明でさらさらした鼻水を認めます。
②鼻水の中の細胞を診る検査
鼻水の中の好酸球というアレルギーの細胞をみる検査です。
鼻の所見だけでは、風邪(急性鼻炎)の初期と花粉症の区別を完全につけることが出来ないため、行うことがあります。
③血液でのアレルギー検査
血液の中のアレルギーの抗体(IgE抗体)の量を測る検査です。アレルギーの原因物質ごとにIgEを測ることができるので、何が原因のアレルギーなのか確認することが出来ます。
例:
花粉症:スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、ヨモギ
通年性鼻炎:ダニ、ハウスダスト、ネコ、イヌ、ゴキブリ、ガ、カビ
食物アレルギーなど
・皮膚のテストや鼻誘発試験などもあります。
通年性アレルギー性鼻炎の治療
①花粉からの回避
②点鼻薬や内服薬での治療
ⅰ点鼻薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬
ⅱステロイド
ⅲ血管収縮薬
③鼻洗い
④舌下免疫療法
⑤手術
①アレルゲン(原因物質)からの回避
アレルゲンそのものから回避することは、症状を抑えるために大切です。
ダニの除去について(鼻アレルギーガイドライン2024より引用)
・掃除機は換気を行いながらゆっくり動かし、週2回以上行う。
・布団を天日干しや布団乾燥機で乾燥させる。週に1回以上布団に掃除機をかけ、表と裏面両面から丁寧に吸い取る。
・シーツ類、カバー類,ベッドパッド類、毛布類はこまめに洗濯する。
・高密度繊維の防ダニシーツやカバーを使用する。
・じゅうたんやカーペットは敷かず、布製のソファーはできる限り避ける。
・定期的に窓を開け換気し、部屋の湿度が60%を超えないようにする。除湿器なども活用する。
・フローリングなどのホコリのたちやすい場所は,拭き掃除の後に掃除機をかける。
・ぬいぐるみ,カーテンなど水洗いできるものはこまめに洗濯する。
・エアコンのフィルターを定期的に清掃する。
・空気清浄機を使う
②点鼻薬や内服薬での治療
ⅰ点鼻薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬
症状に応じて、点鼻薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬を使用します。
鼻水やくしゃみが主な症状の場合には、点鼻薬と抗ヒスタミン薬を使用します。
鼻詰まりがメインの場合には、抗ロイコトリエン薬を併用します。
(1)点鼻薬には、勢いの強いもの、優しく広がるもの、液だれのしにくいものがあります。また、薬の押しやすさにも特徴があるので、医師にお伝え下さい。
(2)抗ヒスタミン薬は、眠気の出る薬で、効果が強ければ眠気が強くなる傾向にあります。
近年効果が強く、眠気が少なく、運転の注意の記載がない薬がでました
ⅱ効果が不十分の場合には、ステロイド薬や漢方などを追加することがあります。
ステロイド薬については、副作用に注意しなくてはいけないので、長期投与は行いません。
ⅲ血管収縮薬
鼻閉が強い場合に使用します。
一時的に鼻の粘膜を強く収縮させ、鼻づまりを改善しますが、すぐに効果が切れるため、基本的には使用しません。また、その効果が癖になり長期で使用を続けてしまうと、薬剤性の鼻炎になり、薬が効かなくなってしまいます。ガイドラインでは1日1〜2回まで短期間にとどめることとされています。
※市販の点鼻薬に使用されていることがあり、注意が必要です。
③鼻洗い
鼻の中の鼻汁と花粉を取り除く良い方法です。
花粉は細かく、鼻をかんでもなかなか鼻の中から取り除くのは困難です。実際に鼻の中を洗うことで、症状を緩和することができます。
回数制限などもないので、薬で十分な改善をしない症状の強い方には特におすすめです。
④舌下免疫療法
現時点では、スギとダニの薬があります。
『原因アレルゲン』を体に少しずつ入れていくことで、『アレルギーの反応を弱めていく治療』です。
皮下免疫療法もありますが、重篤な全身性副反応が起こることがあり、当院では舌下免疫療法を行っております。
開始1年程度で症状の改善が見られ、3年以上継続することで、治療中止後も3-5年程度効果が持続すると言われています。
複数のアレルゲンに対する鼻炎は、重複することで症状が強く出るとされています。ダニの舌下免疫を行うことで、他に鼻アレルギーがある方も症状を緩和することができるとされています。
長期間内服を継続する必要がありますが、鼻炎の症状により受験・スポーツ・仕事などに支障を来される方には、おすすめの治療法です。特にお子さんの場合には、内服できる薬や手術方法なども限りがあります。花粉症により勉強やスポーツなどの妨げにならないよう、将来の備えとして早期から開始することもあります。
院長は宮城県内の2つの総合病院で舌下免疫療法の導入を担当しましたので、ご希望の方は気兼ねなくご相談ください。
⑤手術
(1)鼻づまり
鼻の真ん中の壁の曲がり(鼻中隔弯曲)、鼻のヒダの腫れ(肥厚性鼻炎)が鼻閉の原因のことがあります。
成人の9割に鼻中隔弯曲があるため、鼻が曲がっているから手術をするわけではなく、鼻づまりの症状を起こる原因となっている場合に可能な範囲で真っ直ぐにすることで、鼻づまりを改善します。
また、下鼻甲介という鼻の中のヒダが腫れることで鼻づまりを生じます。腫れた組織を削ることで鼻詰まりを良くする治療です。
(2)鼻水
薬でなかなか止まらない鼻水の方に対して、鼻水の神経を切る手術があります。
後鼻神経という鼻水を出す神経を切断することで、鼻水を抑える治療法です。
県内で行える病院は限られておりますが、院長も勤務医時代に多く経験しており、手術の適応を判断しておりましたので、いつでもご相談ください。