声がかれた、出ない
声の変化にはガラガラ、かすれる、弱々しい、押しつぶされた、などがあります
声が出ない症状で多いのは、炎症またはデキモノです。
基本的な検査は、鼻から内視鏡を入れて、声帯(せいたい)を確認します。
炎症には抗菌薬や吸入薬で治療し、喉を休めることも大切です。デキモノの場合には手術が必要な場合があります。
※ここでは構音障害は除いています
声の変化の症状
声の変化は、専門用語で音声障害や嗄声と表現することもあります。
声の変化の症状には大きく分けて、
①ガラガラ声、ごろごろ声(粗椎性)
②息が漏れるような声(気息性)
③弱々しい声(無力性)
④無理して出している声(努力性)
などの症状があります。風邪などを引いてしまい一時的に声の変化が出ても改善する場合が多いですが、なかなか治らない場合には喉の奥にデキモノなどがある場合があり、当院では喉の内視鏡検査をお勧めしています。
声の変化の原因
声の症状を起こす原因には、大きく分けて
- のどの炎症
- デキモノ(癌などの腫瘍)
- のどの動きの異常
- 加齢や体重減少で声帯が痩せてしまった
などに分けられます。
声帯は右と左が開いたり閉じたりします。
声は、肺から吐き出した空気が閉じた声帯を通ることで音が出ます。
そのため、声の症状のほとんどは声帯に異常がある場合が多いです。
① のどの炎症
喉の使いすぎなどで声帯炎を起こしている場合、ウイルスや細菌感染で喉に炎症が起きてしまった場合などが挙げられます。長引く声の変化や、激しいのどの痛みを伴った声の変化の場合には内視鏡検査をお勧めしております。特に激しいのどの痛みを伴う場合には命に関わる喉の感染を起こしている可能性があるため、注意が必要です。
② デキモノ
声帯にデキモノができたことにより、声の変化が起こることがあります。
声帯ポリープや声帯結節、声帯嚢胞、ポリープ様声帯、声帯肉芽などが挙げられます。
特に注意が必要なのは、声帯白板症(前ガン病変)や喉頭がん(声門がん、声門上・下がん)、大きな下咽頭癌がんなどです。
③のどの動きの異常
多いのは声帯麻痺と言って、声帯の片方が動かなくなり、息が漏れてしまうことで声が出なくなる病気です。声帯麻痺のなかに反回神経麻痺と言って、神経の通り道(頭からのど〜胸)にデキモノや大動脈瘤などができてしまった場合に起こる病気があります。
その他、痙攣性発声障害、緊張性発声障害、心因性発声障害など、声帯の動きに異常が出てしまい声が出なくなることがあります。
④加齢や体重減少で声帯が痩せてしまった
加齢や体重の減少で声帯が痩せてしまい、声が出なくなることがあります。声は左右の声帯が閉じて、その間に吐き出した空気が通ることで音が出ます。声帯が痩せてしまうと、左右の声帯が閉じず、うまく声が出せなくなります。
声の変化の病気
声の変化を起こす病気の中で代表的なものには以下のようなものが挙げられます。
詳しく知りたい方は、病気の名前をクリックして、専用ページに飛んでください。
①喉の感染症(細菌感染、ウイルス感染による)
声帯炎(声帯に炎症があること)
以下のような、のどの感染症も声帯まで炎症が波及すると、声の症状が出ることがあります
急性上気道炎(鼻や喉の炎症をまとめた名前(総称)になります)
急性咽頭炎(鼻の奥から食道の入り口にかけての喉の炎症です。)
急性咽喉頭炎(咽頭と喉頭の両方に炎症が及んだ状態です)
急性扁桃炎(一般的には、のどの入り口にある口蓋扁桃の炎症の事を指します)
扁桃周囲膿瘍(扁桃の周りに膿が貯まってしまった状態です)
伝染性単核症(EBウイルスによるえ扁桃炎で、10代から20代に多い)
急性喉頭蓋炎・喉頭浮腫(肺の入り口が腫れる病気で、窒息のリスクがあり、命に関わる病気です。)
②デキモノ
良性腫瘍
声帯ポリープ(声の使いすぎ、喫煙、風邪などが原因でポリープができること)
声帯結節(学校の先生や保育士、歌手など大声を出す方に多い、時に大声を出す小学生)
声帯嚢胞(声帯に小さな袋ができてしまうこと)
ポリープ様声帯(主にタバコが原因で声帯がむくんでしまうこと、中年の女性に多い)
喉頭肉芽腫(炎症によるデキモノ、感染症後や逆流性食道炎によるものが多い)
悪性腫瘍
喉頭がん(声帯と声帯の上・下にできたガン)
下咽頭がん(下咽頭という喉の下の方、食道の入り口にできたガン)
声帯白板症(声帯の粘膜上皮の過形成 ガンに変化する可能性がある)
③のどの動きの異常
声帯麻痺(片側の声帯が動かなくなってしまい、声帯が閉じなくなってしまった)
反回神経麻痺(声帯麻痺の原因の一つ:首や胸に病気が見つかる場合がある)
痙攣性発声障害
緊張性発声障害
心因性発声障害
④加齢や体重減少で声帯が痩せてしまった
声帯溝症
声帯萎縮
声の検査について
実際に見て観察する検査
・口からのどを見る検査
中咽頭の一部や扁桃(口蓋扁桃)を観察することができます。
・喉頭ファイバー(内視鏡検査)
喉は広く、口からだけでは観察できない場合があります。特に声を出す声帯は内視鏡でないと確認できません。長く続く症状がある方は、のどにガンがある可能性があるため、この検査をお勧めいたします。また、激しいのどの痛みを伴う場合には命に関わる喉の感染を起こしている可能性があるため、確認が必要です。
・組織検査
デキモノや特殊な炎症の場合、組織の一部を採取して、顕微鏡で確認することで診断をつけることができます。この検査が必要な場合は、大きな病院での治療が必要になる場合が多いので、検査をする前に大きな病院に紹介する場合が多いです。
声の専門外来では以下の様な検査を行うことがあります。(当院では行なっておりません)
・声の評価
声の専門外来では、声のアンケートを行い音声障害の評価を行うことがあります。
(Voice Handicap Index:VHI、Voice-Related Quality of Life:V-RQOLなど)
・ 空気力学検査
最長発声持続時間 (MPT)、発声時平均呼気流率(MFR)、声域検査、声の強さ測定、声門下圧などを測定し、治療に方針や治療効果判定に使用します。
・音響分析:客観的に周波数や音量などで音声を評価する方法
・喉頭筋電図:針をのどの筋肉に刺し、筋電図計により筋肉の活動をに観察する検査
声の変化の治療
①炎症がある場合には、抗菌薬、非ステロイド系消炎薬(トラネキサム酸)、ステロイド(吸入、内服、ネブライザー)などを使用します。
流性食道炎では、胃薬(PPI)などを使用する場合もあります。
②デキモノ
良性のデキモノの場合は、大きい病院で手術加療をする場合があります。デキモノの状態や声の症状によっては、声の安静や消炎剤を使用し、経過を見る場合もあります。
悪性のデキモノが疑われる場合は、大きい病院に紹介いたします。
③のどの動きの異常
声の専門病院でリハビリなどを行います。改善が乏しい場合は、喉を寄せる手術やボツリヌス注射などを行う場合もあります。
よくある質問: