後鼻漏(こうびろう)
後鼻漏は、鼻から出た鼻水が喉の方に回って落ちてくる症状のことを言います。
原因のほとんどは副鼻腔炎・風邪です。アレルギー性鼻炎や慢性上咽頭炎なども原因になります。
内視鏡検査やCT検査を行い、副鼻腔炎や後鼻漏があるか確認します。
治療は原因を見つけることで、原因にあった治療を行います。
後鼻漏とは
後鼻漏とは、鼻から出た鼻水が喉の方に回って落ちてくる症状です。
つまり鼻水が出る病気が原因になります。原因の多くは3つ副鼻腔炎、風邪症候群、アレルギー性鼻炎です。
なばっとした鼻水がうまく飲み込めず、喉に残るような症状を後鼻漏と言います。
アレルギー性鼻炎の場合はサラサラした鼻水なので、後鼻漏を訴えることは少ないですが、量が増えると後鼻漏を訴える方もいます。
耳鼻科を受診しても、なかなか良くならない後鼻漏の方に多いのが、①加齢性の変化と②慢性上咽頭炎になります。
①通常人は2−4リットルの鼻水が出て、気が付かないうちにそれを飲み込んでいます。
年齢が上がると、サラサラした正常な鼻水がネバネバしてくるために喉にはりつきやすくなります。それに加えて、飲み込む力も落ちてくるため、喉に鼻水が残り後鼻漏の症状が取れない方がいます。
②慢性上咽頭炎で後鼻漏感を訴えられる方もいます。のどちんこの上側に上咽頭という、喉の一番上の場所があるのですが、そこが慢性的に炎症を起こしていることで、後鼻漏感が出る方がいます。
後鼻漏の病気
慢性副鼻腔炎(蓄膿症のこと:副鼻腔の感染が3ヶ月以上続いている状態)
風邪症候群(黄色い鼻水:急性鼻炎、急性副鼻腔炎(なったばかりの蓄膿症))
アレルギー性鼻炎・花粉症(異物に対するアレルギー反応)
鼻水の加齢性の変化
慢性上咽頭炎
後鼻漏の検査
・鼻鏡を使って、鼻の手前を見る検査です。鼻水の有無を確認し、鼻の中の粘膜の色を確認することで、アレルギーによるものか、感染によるものかを確認します。
・内視鏡検査
曲がる内視鏡を使って、鼻の奥の方まで確認する検査です。鼻鏡の検査よりも、奥や影になる部分の確認をすることができます。
鼻の中にある鼻水がどこから出ているか、喉に垂れ込んでいるか、などを詳しく見ることができます。また、上咽頭を観察することができます。
・レントゲン検査、CT検査(主に副鼻腔を見るのが得意です)
レントゲンやCTを撮影することで、副鼻腔炎があるかを確認します。内視鏡の検査では、副鼻腔から膿が出ていることは確認できても、どのくらい膿が貯まっているか、どこに貯まっているかなど、副鼻腔の状態まで確認することができません。レントゲン検査では費用が安い反面、CTではレントゲンより確実に病変をしてきることができます。
・アレルギー検査
後鼻漏の原因としてアレルギー性鼻炎が疑われる場合に行います。
アレルギーの原因を特定することができます。
通年性鼻炎:ハウスダスト、ダニ、ねこ、犬など
花粉症・季節性鼻炎:
春(スギ・ヒノキ)
夏から秋(イネ、ブタクサ、ヨモギなど)
・鼻汁中好酸球数検査
鼻水の中にアレルギーに関わる好酸球がどのくらいいるかを確認することで、アレルギーなのかを確認します
後鼻漏の治療
①副鼻腔炎、風邪症候群の治療
発症早期はウイルス性のことも多く、タン切りの薬や症状に応じて痛み止めや咳止めを出します。
1~2週経過しても良くならない場合や、頬や歯に痛みなどがあり症状が強い場合には、細菌感染を起こしている場合があるため、抗生物質を使用します。
3ヶ月以上続く副鼻腔炎(慢性副鼻腔炎)がある場合にはクラリスロマイシンという抗生物質を3ヶ月程度長期に投与することもあります。
②アレルギー性鼻炎の治療
後鼻漏の原因がアレルギー性鼻炎による鼻水であれば、抗アレルギー薬や点鼻薬を使用します。
ダニやスギには舌下免疫療法という、原因物質に慣らす方法もあります。
薬の治療で効果が少ない場合には手術での治療もあります。(後鼻神経切断術)
③慢性上咽頭炎
慢性的な上咽頭に対する治療として、上咽頭擦過療法があります。上咽頭擦過療法はさまざまな症状に効果のある治療とされている施設もありますが、その根拠は証明されておりません。
当院では慢性上咽頭炎に対してのみ行っております。
④難治性の後鼻漏
加齢などが原因で後鼻漏が起こっている場合は、薬の治療では改善しないことが多いです。
実際にどろっとした鼻水が落ちているのであれば、
・鼻をすすらないでかむようにすること
・鼻洗いをする
・うがいをする
などの方法で症状が改善することも多いです。