急性低音障害型感音難聴
急性低音障害型感音難聴は、急におきる低音領域の感音難聴のことです。
感音難聴とは、水や耳垢がたまるなどで起こる通り道の難聴ではなく、音を受け取った後の神経の難聴です。
症状としては耳閉感が最も多く、難聴が主訴でないことも多いため注意が必要です。
主に聴力検査をおこない、低音域の感音難聴が起こっているかを確認します。
治療は浸透圧利尿薬(イソバイド)での治療を中心に行います。
急性低音障害型感音難聴とは
急性低音障害型感音難聴は、急におきる低音領域の感音難聴のことです。原因は不明とされてきましたが、近年は内耳が浮腫む(内リンパ水腫)ことが関与していると言われています。
聞こえにくいという症状よりも、耳がつまった感じを訴えて見つかることの多い疾患です。耳鳴りや、聞こえにくさ、難聴、声が響く感じがするなどの症状を訴える方もいます。
急性低音障害型感音難聴はめまいを伴わないことが特徴とされています。めまいを伴う場合には、低音域の難聴とめまいを伴うことが特徴のメニエール病の可能性があります。
発症頻度は人口10万人あたり40-60人といわれており、若年女性(多くは30歳代)に多いとされています。
急性低音障害型感音難聴の検査
・外耳道から鼓膜を直接見る検査
外耳道に耳垢や異物がないか、鼓膜の奥(中耳)に膿や水が溜まっていないかを確認して、伝音難聴ではないかを確認します。
・聴力検査
①難聴の重症度:『音の高さ』ごとに、どのくらい音の大きさが聞こえていないかの『難聴の重症度』を検査します
②難聴の種類:2種類の音の種類の検査をすることで、『通り道の難聴』(伝音難聴)なのか、『神経の難聴』(感音難聴)なのか、または二つが混ざった難聴(混合性難聴)なのかを区別することができます。
低音障害型感音難聴では、低音域の感音難聴があること、高音域の感音難聴がないことを確認します。
人によって病気になる前の聴力は異なるので、難聴を確認するときは、健康な耳の聞こえの力と比較することが大切です。
・ティンパノメトリー(TG)
圧をかけて鼓膜の動きを見る検査です。神経の難聴との区別に使用する場合があります。主には鼓膜の奥にある中耳という部屋の異常がないかを確認します。中耳に水が溜まっていたり、音を伝える骨(耳小骨)が固まっていたり、外れていたりすると異常な波形が表示されます。
・眼振検査
めまいがある難聴の場合には、目の動きを見ることで、耳や頭のめまいで起こる特殊な目の動き(眼振)がないかを確認します。
・MRI検査
造影剤使ったMRI検査で、メニエール病で見られる内リンパ水腫を確認する検査です。
検査の進め方に工夫が必要で時間もかかるため全ての方が行う検査ではなく、診断に難渋する場合などに通常大きい病院で行われます。
聴力の低下が残存する場合や高度な場合には、内耳の構造の異常(奇形など)や神経・脳に腫瘍など、生命に関わるような病気がないかを確認するためにも行います。例:聴神経腫瘍
急性低音障害型感音難聴の経過と治療
経過の特徴として
・短期的には比較的治りやすい
・長期的には繰り返して、再発することも多い
・長期間経過しても改善することがある
・自然治癒例も少なくない
・再発またはめまいを伴うなど、メニエール病であれば反復しているうちに難聴が治らず、悪くなっていくこともある
治療ですが、
①イソソルビド
むくみ・浮腫を取る利尿薬という薬です。内耳のむくみ(内リンパ水腫)が原因とされているため
②循環改善薬(アデホスコーワ)、やビタミン剤(メチコバール)など神経のダメージを回復を補助するような薬を合わせて使用します。
時に突発性難聴に準じて、ステロイド剤を使用する場合もあります。
※若年の女性が発症することの多い疾患であり、妊娠中の方も発症することがあります。ガイドラインでは妊娠中の方へ妊娠に悪影響を及ぼすような薬剤の使用はすすめられておりません。