春の花粉症
春の花粉症は、スギ・ヒノキなどによって起こります。
症状は、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどです。
検査は鼻の中を診る検査(直接・内視鏡)。血液検査でアレルギーを確認することも出来ます。
治療は点鼻薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン拮抗薬などが基本で、症状に応じて分けて行います。また、重度の場合は手術を行うこともあります。
春の花粉症の症状
花粉症の3大症状は、「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」
鼻の症状に加えて、目の症状「涙」「目のかゆみ」「目の充血」
その他に、「のどのかゆみ」「皮膚のかゆみ」「せき」などの症状が現れることがあります。
鼻水(鼻漏)は、水っぽい(水様性)の事が多く、黄色いなど色がついているときは風邪や副鼻腔炎の事が多いです。鼻からたれてくることもありますが、喉の方にたれてくる(後鼻漏)こともあります。
鼻づまりは、①鼻水によるものと、②鼻の粘膜が腫れることが原因です。
鼻水によるつまりであれば、鼻をかむことで解消できます。しかし、鼻の粘膜(ねんまく)が腫れてしまうことで鼻がつまっている場合には、薬を使うしかありません。
春の花粉症の特徴
①アレルギー性鼻炎の1つです。
②春の花粉症は1月末頃から5月にかけて。
スギから始まり、ヒノキと続きます。またハンノキも原因になります。
③花粉症は年々増加してきており、5人に2人は花粉症と言われています。
スギの飛散量が年々増加しているためと言われています。
①アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜のⅠ型アレルギーの病気です。通年性のものと、季節性のものに別れます。
通年性のものは、1年中起こる鼻炎で、ダニ・ハウスダスト・イヌ・ネコ・カビなどが原因になります。季節性のものは、ある季節に鼻の症状がでるもので、花粉症が代表的です。
②花粉症は、春が最も多く、スギやヒノキ、ハンノキが原因になります。
スギ花粉症は早い年では1月ごろから飛び始め、4月に入ると落ち着いてきます。ヒノキは3月末から5月にかけて飛散します。宮城県は関東と比べると半月から1ヶ月程度遅い事が多いです。
前の年の夏の気温が高く、雨が少ないと、次の年のスギの飛散量が増えると言われています。
③花粉症の人の割合は年々増えてきており、5人に2人は花粉症といわれています。(1989年は5人に1人)
アレルギー性鼻炎全体でみると、2人に1人、つまり約半数の方がお困りであり、国民病とも言えます。
宮城県の花粉症、アレルギー性鼻炎の割合はおおよそ全国平均と同程度の数字となっています。
春の花粉症の検査
①鼻の中を見る検査(鼻鏡・内視鏡)
②鼻水の中の細胞を診る検査
③血液でのアレルギー検査
①鼻の中を見る検査(鼻鏡・内視鏡)
鼻の中を鼻鏡という鼻を広げる器具を使ってのぞきます。奥まで見たいときは内視鏡を使って確認します。
アレルギー性鼻炎では粘膜が青白く見え、また透明でさらさらした鼻水を認めます。しかし、花粉症の大量飛散時期などは粘膜が赤く見えることもあります。
②鼻水の中の細胞を診る検査
鼻水の中の好酸球というアレルギーの細胞をみる検査です。
鼻の所見だけでは、風邪(急性鼻炎)の初期と花粉症の区別を完全につけることが出来ないため、行うことがあります。
※ガイドラインでは、鼻のかゆみや目の症状がある場合には、鼻症状との区別に役立つとの記載もあります。
③血液でのアレルギー検査
血液の中のアレルギーの抗体(IgE抗体)の量を測る検査です。アレルギーの原因物質ごとにIgEを測ることができるので、何が原因のアレルギーなのか確認することが出来ます。
例:
花粉症:スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、ヨモギ
通年性鼻炎:ダニ、ハウスダスト、ネコ、イヌ、ゴキブリ、ガ、カビ
食物アレルギーなど
・皮膚のテストや鼻誘発試験などもあります。
春の花粉症のの治療
①花粉からの回避
②点鼻薬や内服薬での治療
ⅰ点鼻薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬 ⅱステロイド ⅲ血管収縮薬
③鼻洗い
④舌下免疫療法
⑤手術
①花粉からの回避
花粉そのものから回避することは、症状を抑えるために大切です。
・花粉情報をみて、花粉が多い日にはより注意する
・外に出るときはマスク、メガネをする
・コートは毛羽立ちのすくないものにする
・家に入る前に、服や髪についた花粉を払う。帰宅後、洗顔うがい、鼻をかむ。
・飛散の多い日の、換気や布団洗濯の外干しはしない
・家の掃除をする
などが、花粉症の時期に注意する項目です。
②点鼻薬や内服薬での治療
ⅰ点鼻薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬
症状に応じて、点鼻薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬を使用します。
鼻水やくしゃみが主な症状の場合には、点鼻薬と抗ヒスタミン薬を使用します。
鼻詰まりがメインの場合には、抗ロイコトリエン薬を併用します。
(1)点鼻薬には、勢いの強いもの、優しく広がるもの、液だれのしにくいものがあります。また、薬の押しやすさにも特徴があるので、医師にお伝え下さい。
(2)抗ヒスタミン薬は、眠気の出る薬で、効果が強ければ眠気が強くなる傾向にあります。
近年効果が強く、眠気が少なく、運転の注意の記載がない薬がでました
ⅱ効果が不十分の場合には、ステロイド薬や漢方などを追加することがあります。
ステロイド薬については、副作用に注意しなくてはいけないので、長期投与は行いません。
ⅲ血管収縮薬
鼻閉が強い場合に使用します。
一時的に鼻の粘膜を強く収縮させ、鼻づまりを改善しますが、すぐに効果が切れるため、基本的には使用しません。また、その効果が癖になり長期で使用を続けてしまうと、薬剤性の鼻炎になり、薬が効かなくなってしまいます。ガイドラインでは1日1〜2回まで短期間にとどめることとされています。
※市販の点鼻薬に使用されていることがあり、注意が必要です。
③鼻洗い
鼻の中の鼻汁と花粉を取り除く良い方法です。
花粉は細かく、鼻をかんでもなかなか鼻の中から取り除くのは困難です。実際に鼻の中を洗うことで、症状を緩和することができます。
回数制限などもないので、薬で十分な改善をしない症状の強い方には特におすすめです。
④舌下免疫療法
現時点では、スギとダニの薬があります。
『原因アレルゲン』を体に少しずつ入れていくことで、『アレルギーの反応を弱めていく治療』です。
皮下免疫療法もありますが、重篤な全身性副反応が起こることがあり、当院では舌下免疫療法を行っております。
開始1年程度で症状の改善が見られ、3年以上継続することで、治療中止後も3-5年程度効果が持続すると言われています。
長期間内服を継続する必要がありますが、鼻炎の症状により受験・スポーツ・仕事などに支障を来される方には、おすすめの治療法です。特にお子さんの場合には、内服できる薬や手術方法なども限りがあります。花粉症により勉強やスポーツなどの妨げにならないよう、将来の備えとして早期から開始することもあります。
院長は宮城県内の2つの総合病院で舌下免疫療法の導入を担当しましたので、ご希望の方は気兼ねなくご相談ください。
⑤手術
(1)鼻づまり
鼻の真ん中の壁の曲がり(鼻中隔弯曲)、鼻のヒダの腫れ(肥厚性鼻炎)が鼻閉の原因のことがあります。
成人の9割に鼻中隔弯曲があるため、鼻が曲がっているから手術をするわけではなく、鼻づまりの症状を起こる原因となっている場合に可能な範囲で真っ直ぐにすることで、鼻づまりを改善します。
また、下鼻甲介という鼻の中のヒダが腫れることで鼻づまりを生じます。腫れた組織を削ることで鼻詰まりを良くする治療です。
(2)鼻水
薬でなかなか止まらない鼻水の方に対して、鼻水の神経を切る手術があります。
後鼻神経という鼻水を出す神経を切断することで、鼻水を抑える治療法です。
県内で行える病院は限られておりますが、院長も勤務医時代に多く経験しており、手術の適応を判断しておりましたので、いつでもご相談ください。