習慣性扁桃炎(繰り返す扁桃炎)
習慣性扁桃炎とは、年に数回 急性扁桃炎を起こしてしまうことをいいます。
急性扁桃炎を起こした際には抗菌薬で治療を行い、炎症を落ち着けます。
年に何度も高熱や咽頭痛を起こしてしまい、生活に支障が出る場合には、炎症が落ち着いている段階で、根治的な治療を行います。
習慣性扁桃炎の治療として、入院で口蓋扁桃摘出を行います。
口蓋扁桃の表面には小さな穴がたくさん開いています。(陰窩)陰窩は表面から扁桃の深いところまで、続いています。穴の中にはゴミが溜まりやすく、貯まったゴミ(バイ菌の塊や食物残など)が原因で炎症が起こります。扁桃炎を繰り返しているうちに、穴が深くなり、また扁桃表面のバリア機構も壊れてしまい、扁桃炎を起こしやすくなります。
その結果、年に何度も急性扁桃炎を起こしてしまう病気を習慣性扁桃炎(慢性扁桃炎)といいます。
急性扁桃炎を起こしているときの基本的な治療は抗菌薬で炎症を抑えることです。
年に何度も急性扁桃炎を起こし、熱や咽頭痛を繰り返していると、学校生活や仕事に支障が出てしまいます。
特に社会人になると、年に高熱を何度も起こしてしまい、会社を休みのは体に負担があるだけでなく、会社の方にも負担が及んでしまいます。
このような急性扁桃炎を繰り返す習慣性扁桃炎を予防には、炎症が落ち着いた段階での口蓋扁桃摘出術が行われます。
口蓋扁桃摘出のポイント
①手術はクリニックで出来るのか
昔はクリニックで行っていたこともあるようですが、現在は入院での全身麻酔での手術が一般的です。
そのため、ご希望の際には手術が行える病院に紹介します。
②何回起こしたら、手術を受けたほうがいいのか。
厳密に、年に何回起こしているかなどの決まりはありません。(小児の場合にはあります)年に1,2回でも何年もの間毎年のように起こっている場合には、手術を行うこともあります。
どれだけ生活に支障が出ているのかなどが、手術を受けるかのポイントになります。
③手術を受けたら、もう熱や喉の痛みは起こらなくなるのか
何度も起こしている咽頭痛と発熱が、口蓋扁桃による急性扁桃炎かが大切です。取ることが出来るのは口蓋扁桃という扁桃のみです。咽頭扁桃や舌根扁桃での炎症の場合や、風邪やインフルエンザなどは喉の全体で炎症が起きているため、口蓋扁桃摘出で予防することはできません。何度もかかっている咽頭痛や発熱の原因が急性扁桃炎によるものなのかを確認することが大切です。
耳鼻咽喉科医は、医師の中でも喉のエキスパートです。熱や咽頭痛の原因が、口蓋扁桃で起きているのかの判断ができますので、お悩みの方は耳鼻咽喉科専門医の受診をおすすめします。
④入院期間はどのくらいなのか。
宮城県の場合には、おおよそ9−10日間前後の病院が多いです。出血したり、痛みが強い場合には延長することもあります。
⑤退院後の生活
私自身勤務医で手術を数百件おこなってまいりました。手術を行っていた勤務医時代は、扁桃摘出術後は1ヶ月程度遠出や出張、その他喉に影響のあるような飲酒や喫煙が避けられる時期に行うことをおすすめしてきました。術後1ヶ月程度は出血のリスクがあり、大きな出血が起こった場合には全身麻酔で止血をしなくてはならず、病院に受診できる状況で過ごして頂く必要があると考えます。