良性発作性頭位めまい症
めまいの症状は、人によって様々で様々な病気によって起こります。
良性発作性頭位めまい症は、めまいの原因として一番多い病気です。
特徴としては、特定の頭の動きで数秒〜数十秒程度の回転性をめまいが起きることです。
しかし、ほとんどのめまいは、頭を動かすとめまいをすることが多いので、間違われることの多い病気です。
他のめまいに少ない特徴としては、①他の頭の動かし方をするとめまいが起きない、②じっとしていれば数十秒程度でめまいが一時的に落ち着く等があげられます。
検査は、目の動きを見る検査(眼振検査)と聴力検査などを行います。
頭の体操を行うことで、1-2周程度で改善することが多いです。
良性発作性頭位めまい症とは
良性発作性頭位めまい症は、めまいの原因として一番多い病気と言われています。
人の耳の奥にある3つのリング(半規管)と2つの玉(耳石器)でバランス感覚をとっています。リングと玉はつながっており、中は液体で満たされています。頭や体の場所が動くと、その液体が動くことで、どのような動きをしているか感知して、バランス感覚を取っています。
玉の中にはとても小さな石が入っており、その石が外れて、リングの中にはいることで、良性発作性頭位めまい症を起こすと言われています。リングの中の液体の流れが、石によって乱流になることで、バランス感覚がくずれ、めまいがおこります。
リングの中で石が動いたときにめまいがおこります。つまり、石が動いていないときはめまいはおこりません。
これが、良性発作性頭位めまい症が、『特定の頭の動き』で『数秒〜数十秒程度』の回転性をめまいを起こす原因です。
ここで大切になってくるのが、『特定の頭の動き』『数秒〜数十秒程度』という点です。
多くの方が
良性発作性頭位めまい症=頭を動かすとめまいがする病気
と思われているのですが、これはすこし間違いです。
めまいを起こす病気はたくさんあります。例えば、体調が悪く、疲れているだけでもめまいは起こります。その際に頭を動かしたり、体を動かせばめまいがするのは容易に想像がつきます。多くのめまいを起こす病気で、頭を動かせばめまいは起こってしまいます。
そのため大切になってくるのが、『特定の頭の動き』『数秒〜数十秒程度』という点です。
以下の2点がある場合には、良性発作性頭位めまい症を強く疑います。
①他の頭の動かし方をするとめまいが起きない
②じっとしていれば数十秒程度でめまいが一時的に落ち着く
リングの中で、石が動けば、めまいがおこります。
反対を言えば、リングの中で石が動かないような、頭の動きであれば、めまいは起こりません。石の動きが収まれば、めまいは落ち着きます。これが理由です。
例えば、下を向いた時や横になったときだけめまいが一瞬起こるけど、普通に生活している分にはめまいが起きない。横になって寝返りを打ったときだけ、めまいがする。
このような症状がある場合には、良性発作性頭位めまい症の可能性があります。
逆に、座ったり、寝たりしていても、ずっとめまいが収まらない(大きな波がない)場合には他の病気を疑います。
また、耳鳴りや耳閉感、難聴などは伴いません。
良性発作性頭位めまい症の検査
・眼振(目の特徴的な動き)の検査
耳からくるめまいの場合は、特徴的な目の動き(眼振)が起こります。片方に一気に動いて、ゆっくり戻るといった目の動きです。
眼振は一点を見てしまうと弱くなってしまうため、特殊なゴーグル(フレンツェルメガネ)をつけて行っています。
目の動きを見る検査ですので、辛くても目を開けていただいていた方が、スムーズに検査を行うことができます。
良性発作性頭位めまい症では、めまいが起こる頭の動かし方をした場合に、特徴的な目の動き方が出るため、頭を動かしながら検査を行います。
・聴力検査
耳からくるめまいの場合、聴力に異常がある場合があるので、聞こえの検査を行います。
・鼓膜を直接見る検査
中耳炎などでめまいを起こす場合があり、鼓膜の様子を見ることがあります
良性発作性頭位めまい症の経過と治療
石がリング(半規管)から玉(耳石器)に戻るとめまいが起こらなくなります。
石が元の位置に戻すために頭を動かす体操を行います。
はじめは辛いですが、数日立つと徐々に慣れてくるため(疲労減少)、できる限り行っていきます。
めまいが怖く頭を動かさないでいるといつまでも良くなりません。
良性発作性頭位めまい症の3割の方でめまいが再発すると言われています。
また、症状を抑えるための治療として、①めまいの症状を抑えるための抗めまい薬、②めまいから起こる嘔気や嘔吐を抑えるための制吐薬を使用します。