いびき、睡眠時無呼吸
日本には約300万人以上の閉塞性睡眠時無呼吸症の方がいるとされていますが、診断・治療を受けている方は
太っていることはリスクですが、痩せている人でも無呼吸を起こします。
睡眠時無呼吸の症状は「激しいいびき」「呼吸が睡眠時に止まる」「昼間の眠気・だるさ」などです
睡眠時の無呼吸のリスクとして、「居眠り運転」「交通事故」が有名ですが、「心臓による突然死」「心筋梗塞」「脳梗塞」など命に関わる病気のリスクです。
検査は、まず自宅で行う「簡易アプノモニター検査」を行い、必要に応じて入院して行う「終夜睡眠ポリグラフ(PSG)」があります。
治療は、1時間に20回以上のイベントがあった場合には、寝ているときにマスクを付けて寝るCPAP治療を行います。
※ここでは大人の睡眠時無呼吸症を取り上げます。
こどもの睡眠時無呼吸やいびきはこちら。
より詳しく知りたい方は、下にスクロール
睡眠時無呼吸症とは
睡眠時無呼吸症(症候群)とは寝ているときに、息が止まる病気です。
特徴は「激しいいびき」で、静かになったと思うと「息が止まり、呼吸をしていない」状態となります。
睡眠時無呼吸症には大きく分けて「閉塞性」「中枢性」がありますが、「閉塞性」を指すことが多いです。閉塞性は寝ている間に、鼻や喉で息の通り道が狭くなってしまうことで、息ができなくなってしまいます。
人はねている間、のどや舌の筋肉の緊張が緩み、空気の通り道を圧迫します。さまざまな理由でのどが狭くなっていると、寝ているときに無呼吸を起こしてしまします。
日本には約3-400万人以上の患者がいるとされていますが、これは治療が必要な方の数であり、実際には成人男性の約4人に1人が睡眠時無呼吸症候群を発症しているとされています。
無呼吸になりやすいかたは、
「肥満」「首が太い」「中年」「男性」「タバコ」「アルコール」「鼻閉」「家族歴」などが原因と言われています。
肥満のかたは、正常な方に比べて4倍、男性は女性に比べて2倍、タバコを吸っている方は3倍無呼吸になりやすいとされています。
しかし日本人を含むアジア人では無呼吸の4割は太っていないというデーターもあるので、家族に指摘されたけど、私はやせているから大丈夫という考えは危険です。
睡眠時無呼吸症の症状
睡眠時無呼吸症を強く疑う症状としては、
「おおきないびき」、「睡眠時に息が止まる、呼吸が浅くなる」などの、ご自身が寝ているときの症状なので、家族や友人などに指摘されるまで、気が付きことが出来ません。
①夜の症状
苦しくて目が覚める、トイレに何度も起きるなどの症状があります。
夜に鼻がつまって眠れないなどの症状があるが、日中には鼻のつまりがない方は、鼻が原因ではなく、無呼吸で眠れていない可能性があります。
②昼間の症状
眠気がある、疲れやすい、仕事に集中できない、よく寝たのに朝起きると頭が痛い・だるさがある、車を運転していると眠くなる
などの症状があるため、心当たりのある方は、検査をおすすめします。
また、いびきだけで無呼吸がない場合もあり、単純いびき症と言います。無呼吸がない場合であっても疲労感や日中の眠気などがある場合には、上気道抵抗症候群とも言います。
無呼吸症のリスク
無呼吸症のリスクは大きく分けて2つあります。
①十分な睡眠が取れないことでの症状が生じる
②生活習慣病や命に関わる病気の発症リスクが上がる
睡眠時無呼吸症候群の症状で有名な症状は、「居眠り運転」だと思います。一時期ニュースでも大きく取り上げられ、話題になりました。
日中に眠気やだるさが出ることで、車の運転だけでなく、仕事や家事などに集中できず、また夕方になるにつれて疲れが強くでてしまい、生活の質が下がってしまっている可能性があります。
日中の眠気にスポットが当たりがちですが、睡眠時無呼吸症は多くの病気を引き起こすと言われています。
寝ているときに無呼吸が起こると、体の様々な臓器に負担やストレスがかかります。
生活習慣病である高血圧、糖尿病、高脂血症などの原因と言われています。治療をしてもなかなか高血圧や糖尿病のコントロールがつかない場合には、睡眠時無呼吸症を疑う必要があります。
また、それだけでなく命にかかわる病気のリスクも上げることが知られています。特に血管系の病気になりやすくなると言われています。
心筋梗塞や狭心症、脳卒中、睡眠時の突然死、心房細動、心不全などがあげられます。
具体的には、健康な方に比べて、下のリストのようにリスクが上がるとされています。
高血圧2.14倍
糖尿病:2.29倍
脳卒中:3.51倍
心不全:4.30倍
心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患:2.54
睡眠時無呼吸症の検査と診断
成人は1時間あたり5回以上の無呼吸・低呼吸(AHI)があった場合、睡眠時無呼吸症の診断となります。
5回〜15回が軽症、15〜30回が中等症、30回以上が重症とされています。
無呼吸・低呼吸が、簡易検査で40回以上、PSGで20回以上の場合はCPAP(持続陽圧療法)というマスクを付けて寝る治療を行う必要があります。
検査は大きく分けて2つ、①自宅でできる簡易検査と②入院で行う詳しい検査です
①簡易検査・アプノモニター検査:
簡易検査の特徴は、ご自宅で検査することができることです。
鼻と指に検査の機械をつけ、鼻の呼吸と、体の中の酸素濃度を測ることで、無呼吸やいびきを検査します。
ご自宅で検査できるので、睡眠時無呼吸症を見つけるのにとても優れている反面、回数が少なめに出てしまう、睡眠の状態を詳しく診ることが出来ないなどの欠点もあります。
簡易検査時点で40回以上の無呼吸・低呼吸があった場合にはCPAPの適応になります。
②睡眠時ポリソムノグラフィー(PSG)検査
ポリソムノグラフィ(PSG)検査は、1泊2日の入院で行う検査です。
簡易検査とは異なり、頭や胸腹・足などにも機械をつけることで全身の状態を把握しながら検査を行うことで、睡眠の状態をより詳しく把握し、精密な無呼吸の検査を行うことが出来ます。
睡眠の質や時間、無呼吸の種類(閉塞性・中枢性)などを確認します。
当院では、症状があり簡易検査で5回以上の無呼吸・低呼吸、症状がない方でも15回以上無呼吸・低呼吸があるかたは、入院でのPSGで検査をおすすめしています。
睡眠時無呼吸症の治療
①CPAP(持続陽圧療法)療法
終夜睡眠ポリグラフ (PSG) 検査にて20回以上,簡易検査で40回以上の無呼吸低呼吸がある場合にはCPAPの治療を開始します。
CPAPとは、寝ているときにマスクを装着し、呼吸に合わせて空気が機械から送ることで、狭くなった喉を開き、睡眠時に空気の通り道が閉じないようにサポートする機械です。
CPAPを使用することで、重症の閉塞性睡眠時無呼吸症の方の、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気の発症を減らすことが出来たというデータがあります。
4時間以上使わなかった場合にはその効果はなくなってしまうとのデータもあるため、長時間使用することも大切です。
②マウスピース
PSG検査で20回以下だった方やCPAP治療が合わなく継続できなかった方に行う治療です。軽症や中等症でも症状がある方や予後の改善を行いたい方に行うことが多いです。
マウスピース仕様による無呼吸や低呼吸を抑えることで、心血管死のリスクを減らすことや血圧のコントロールをつけることができる等の報告があります。
マウスピースは下の顎や舌を前に引っ張ることで、喉の空間を広げる治療法です。
マウスピースにはさまざまな種類があり、医師の診断のもと歯科医師が作成します。
③生活改善
ダイエット、節酒、禁煙
睡眠時無呼吸症の原因として、肥満や過度な飲酒、タバコが上げられます。
肥満の方では喉の中も太るため、過度な飲酒は筋肉がより緩んでしまうため、タバコは喉の粘膜がむくんでしまうため、気道が狭くなってしまいます。
睡眠時無無呼吸症はさまざまなことが原因で起こっているため、一つを良くすれば必ずなおるというものではありません。
しかし、生活の改善を行うことで
④その他
手術療法や、体位療法などがあります。
手術については、若年で肥満がないこと、のどちんこの高さ、扁桃・舌の大きさなど様々な要因が揃うと改善する可能性があるのですが、手術を行うことで必ずしも改善する手術ではないため注意が必要です。
また近年、舌下神経刺激療法などの療法も保険適応となり、専門病院と連携して適応を判断いたします。